【批評祭参加作品】日々のひび割れ −石川敬大『ある晩秋の週末のすごし方が女のおねだりで決まる』評−/大村 浩一
方である。
改行位置が意図的に変えてある。「と女がいったその言葉に」と1行に出来
るものをわざと分けてあるため、「言葉に」が前行にかかるのか後の行なのか、
一瞬迷うために異物感が醸成される。詩人だから「言葉」に引っ掛かりたいと
いう意図があるのだろう。またこうすることで「女」も目立つ。ここでも呼び
方は当然「女」である。
主人公の当惑の理由が、第2連以降で明らかになる。主人公の幼い愛犬の立
場が、妻の要求でたちまち脅かされてしまうからだ。
# 二歳にもならない
# 愛犬ミルクは車に弱い
# 夕方は早く暗くなるので留守番では
# 可哀想すぎる
# ぼくの
# こ
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(8)