【批評祭参加作品】原罪と救済のパレード(反射熱 第五号)/古月
み」とも言うべき構図から「救済」とはなにかを再度問う、佐藤銀猫の詩である。ここでは一転して、不幸とでも言うべき、自然の厳しさが描かれている。
>今日はこの国や
>内包する宇宙にも
>とりわけ関心がなく
>眠りを貪っているうち
>羽根を失い
>アオムシになったらしい
アオムシに訪れた不幸なできごとは、「ごくふつうのこと」と語られる。
>アオムシは思わない
>しあわせについて
>あるいは明日について
「しあわせ」とは何なのだろう、と考える。もしかしたら「しあわせ」とは、人間が勝手に作り出した、実体のない妄想なのではないか。これまで語られてきた、人の中に確かにあ
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