『乳房』/あおい満月
 
 ずっと待ち焦がれていたの
 その手を
 あなたのその手を
 あなたに愛撫されるように

 夜のシーツに包まってわたしを宥めた
 あなたをずっと待っていたのに
 あなたの指がわたしに触れると
 わたしは閉じかけた蕾のように押し黙る

 あなたのぬくもりと
 わたしの間に
 見えない扉があるように
 鏡の前に
 流れてしまう 
 わたしの蜜

 乳白色の

 星空に願うように
 今も絹の下で
 あなたを待ち焦がれている

 眠るように
 鏡の前であなたを呼ぶ

 あなたを唄う

 この腫れあがる
 赤い果実は
 すべてあなたのもの

 今夜、
 残さずに全部食べて




                        2009.9.10(Thu)
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