【批評祭参加作品】谷川俊太郎インタビューから考えた事/大村 浩一
 
ないが、学問学究的な価値だけでは物足りないし、いまの状況が続け
ば後年、学究的な対象にもなり得なく(広汎な社会性を読み取れないという理
由で)なるかもしれない。
 少なくも平成以降の日本の現代詩が、海外の現代思想が彼らの近代・現代詩
を研究対象にするような、そういう存在であり得るかというと、とてもそんな
状況にはない気が私にはする。松本隆の歌詞なら、塚本邦雄の短歌ならまだし
も。むろん個別の優れた詩集の成果は認めるが、文化的ムーブメントとしては
残念な状況だと思う。
 私にとって詩は、とかく生き辛い現実社会に対して、私がはじめて拮抗でき
る手掛りになったものだ。だから、人が矛盾だ
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