「天使の島」/月乃助
あたらしい
灰色海の貝をさがしてたら
天使をみたよ 濡れた砂の手で
子どもの頃にだって、
こんなことはあったのかもしれない
忘れてしまっても
白い貝殻だけが残されたり
アザラシの住まう島の白い灯台のはるか上
四本立っているラジオ・ポールが背をのばす
うろこ雲の間に隠れていたって
輝く光は、そこらじゅうにもれ出てくるから
どうしたって 隠すことなんかできやしない
春のあたたかな陽射しを
思い出させるのは、
新しい年のはじまり
翼のゆらめきは、天空の
唖然としているあいだにもう 消えてしまって、
望んだって おりてきてくれはしない
でもあれは、幻なん
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