消印のない手紙??参考資料⑥/robart
君が東京につく頃までには、この手紙を書き終えたい。そして君が東京を去るときまでには、この手紙が君の下宿先のポストに入っているようにもしたい。難しくはないんだ。余計なことは書かず、必要最低限だけを記述していけばいい。だけれど、実際問題そうはいかない。久しぶりにペンを握ったというせいもあるだろうけど、どうやらすらすら書けそうもない。ここまで書くのだって、もうすでに時計半周とビール2杯分使ってるんだから。話し言葉で書くべきか、それとも、あらたまって書くべきなのか。それすらわからず迷走している自分が情けなくなる。たかが手紙だろう。そう口に出そうとしてみたけれど、あくびとげっぷが一緒になったような音が
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