やきとり流儀/ふくだわらまんじゅうろう
 
砂肝一本
獅子唐
銀杏

俺は今日まで
何処に居た?
何処から何処まで
何処を通って
この焼酎の
お湯割の
湯気の向こうに咲く
花の

花のような貴女の笑顔の
記憶を辿って
辿り酒
恋人

亡くして独り
雪見酒
そいつぁあ貴女の気持ちもわからない
でもないが
砂肝一本
色っぽい女がひとり
止まり木に
油の煙
流し目風情
俺はこうして獅子唐三昧
つやつやの
夜の向こうに
おまいさんの気持ちを慰められないのは
ねえ
だいいち名前も知らないとくらぁ
されど炭火の
夜は更けぬ


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