Dad/月乃助
た、だから、
みなが浮かれていたのに
急にとは、突然とは
そんなことは生きていれば何度かあるのかと
そのあとでも 探すように待っていたのに
やはりそんなことは、やってくることはないのです
ありがたいことに これからだってないのでしょう
思うのです、
人の生き死になど
またたきほどのことなのですね、
涙を流す日はとうに終わっているのに
酸素呼吸器の音ももうしない
それでも思い出せば、心が苦しくなるのは
仕方のないことなのかもしれない
それをほっておいても良いのでしょう、
少しばかりのお酒を飲みましょうか、
あの日の笑顔がやってきそうで
悲しくなど、ならずにすむのなら
次の世でまた会えるだろうと、
その時は あなたの子のままで
わたしの子どもの姿を見つめながら この頃
そんなことを思う 年になってきました
安らかに眠っていてください
おとうさん
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