新しい季節へ /服部 剛
「おやすみタイマー」の時間が切れて
はぁ〜・・・っと暖房は息を吐き出し
お役御免、の佇まいで
部屋を静寂が、支配する。
その割り切り具合に何故か
好感を持つ、夜のひと時。
年の瀬の仕事を休んだ
病人の僕は、今夜も眠れぬまま
ベッドの上で何かを探して、読書する
私には腕が、二本しか無い。
私には全ての問題に答える、口が無い。
数え切れない言葉の羅列よりも
時に、雄弁なる沈黙を、私は望む。
思いでの時間は過ぎ去り
盃を交わした友の名さえも
この手から緩やかに手放せば
それぞれの場にやがて
それぞれの春が、巡り来る
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