愛車に捧げる詩 /服部 剛
 
車を降りて、ドアを閉めたら 
いつのまにか 
窓もボディも薄っすら泥に、汚れてた。 

気の重い出勤の朝は会社へ 
年の瀬に風邪をひいた今朝は病院へ 
けだるくアクセルを踏めば 
只、エンジンのみを唸らせて 
せっせと僕を運んでくれたのに 

車自体は、何(なん)にも云わない 
いい奴なのに 
これじゃあまるで 
日頃の業欲に塗(まみ)れちまった 
僕みたいな、姿じゃあないか 

年を越して、風邪が治ったら 
冬の朝にもきりりと起きて 
水を絞った雑巾(ぞうきん)で 
汚れた愛車を、撫でてやりたい 




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