凪が終わる時/within
くれんかな」
と言うと、男は店員の方に向き直り、言った。
「これは本当のことだから、あなたも例外ではない」
店員は呆れ顔で
「分かった、分かったけんちょっとどいて」
と男の背後に回り、後ろから羽交い絞めにした。
「お客さん、さあ今のうちに」
と店員が男を後ろに引きずった。
道人は店員に頭を下げ、すばやく自転車を出した。自転車に跨り、漕ぎ出すと後ろから男が叫んだ。
「私は神様なんだ。私は神様なんだ。私の言葉を聞きなさい」
道人はペダルを漕ぐ足を休めず、振り返らないで道に出た。
薄紫色に染まってきた空を見上げて、何か不思議な気配を感じていた。幼い頃、まだ両親とアパート
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