風のオマージュ その2/みつべえ
とか。なるほどユーレイの正体見たり枯尾花。その日から私はその同級生に敬意を払うようになったのですが、その反面、詩をクイズのように扱ってぼくらを嘲弄したM先生には腹を立てました。
けれども、あとでよく考えてみると、ちょっと皮肉な言い方ですが、現代教育が生徒全員に同じ答を期待する傾向が強いなかで、あえて百人百様の答しか出せない形で問を発したのは、M先生の体制への消極的反抗、あるいは良心的反省、とにかく一種の洒落だったにちがいないと思い直しました。いやいや、先生に対して何という不遜。若いときはきっとみんな厚顔無恥なんでしょうね(笑)。いやいや、私はいまでもそうですが。
これを契機に、私は図書館で「体操詩集」を借り出して読みふけることになるのです。そして、ひとつ呪文をおぼえました。ノイエザハリヒカイト、新即物主義。
●村野四郎(1901〜1975)
府中市に生まれる。荻原井泉水の自由律俳句を経て、詩の方法意識の深化に向かった。「体操詩集」は新即物主義の成果といわれている。
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