星夜 /服部 剛
 
わたしは一切のものを 
この業欲な手に 
所有することは、できない 

わたしが一切のものを 
この手から離す時 
初めて、目に映る世界の姿は 

完(まった)き天の、贈りもの  

静かな星夜の彼方から 
遠い記憶のあの声は 
あふれる程に、密やかに 
波のまにまに呼んでいる 

両手を開いて立っている 
わたしという
世界に一つの名前を 




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