【140字小説】美少年他/三州生桑
【雑踏】
地下街の雑踏で見知らぬ若い男に肩を叩かれた。「はい?」何やらまくしたてられるが全く理解できない。何語だらう。男は段々激してきて私の肩を小突く。「何するんですか!」男は声高になり、またドンと肩を突く。野次馬が集まり始めた。男は私に唾をかけて去って行く。あれは私の祖父ではなかったか?
【羨望】
「ソープ行ったで」「ふむ」「車買うたんや」「ほう」「女の子紹介してや」「ああ」「車でやってもた」「ははは」「婚約したわ」「おめでたう」「三人で食事行こ」「いいね」「披露宴の司会頼むわ」「OK」そして私は彼から絶交を言ひ渡された。彼は何物も羨まない私が、羨ましくて仕方なかったのだ。
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