丸椅子/ゆるこ
 


鉄格子の中で回るメリィゴゥランドの片隅で
足や手が真っ黒になってしまった
彼女は自分を失ったことを知らない

彼女自身の断片が星屑になって街を歩く彼女の頭上に煌めくネオンになっても
彼女は自分を失ったことを知らない

吐きながら、


小鳥は歌いながらことのはをなぞるけれども
私の指先は彼女の頬をなぞることすらできない
それほどの無能であったから
彼女は自分を失ったことを知らないで

いままで生きている



さみしい子

かわいそうな子


あの日デパァトの地下のフゥドコォトの丸椅子に置いてきぼりにされていた女の子達みたいな



かわいそうな子


だったよ

丸椅子の少女が笑ってる
頭の中で回転している


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