竜/しべ
 
煉瓦も煙突の梯子も
宵に馴染まない
うっすらと蜜の匂いで
遠くの空は、山猫みたいだ

人が通り
加湿器が見え隠れする
冷たい錆がべっこうの窓を往来する

心細い釘に守られて
行灯は虫を誘う

ちらちらと吸い寄せられ
浮かび上がったら

くわれた
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