批評について/結城 森士
 
れしかない)。しかし、相手の問題にまで自分の価値観が通用すると思っているのは、見ていて痛々しい。もちろん、参考程度に意見を述べるというのなら問題はないのだが。

芸術の評論において、他人の作品を批評する行為そのものは大切だと思う。それは逆説的に、自分の方向性を明らかにすることであるから。また、自分の考えを相手に伝えると言うのはコミュニケーション(共同する行為)において、とても大切だ。

けれど批評を第三者に読ませる必要は、あるのだろうか?

批評とは本来、自分から作者に向かって発せられるものである。第三者に読ませることを目的とした批評というのは、何かが逆立ちした行為だと思う。それは何か
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