【140字小説】裸婦他/三州生桑
 
ながら。


【裸婦】
アトリエでデッサンを描いてゐる最中に若いヌードモデルが可愛らしいおならをした。「今のは描かないで下さいね」とクスクス笑ひながら言ふ。感じの良い娘だが、もう三回も堕胎してゐる。それぞれ違ふ男の胎児を。「今の恋人はどう?」「もう最高の彼氏なんですよ!」と彼女は微動だにせず言ひ放った。


【二頭の馬】
向かひ合った二頭の馬が盛んに白い息を吐き、私を物笑ひの種にしてゐた。片目で私をちらと見ては、をかしくてたまらぬ風情で大笑ひしてゐる。悔しくてたまらないが二頭の馬には敵はない。そのうち彼らは際限も無く長い小便をし始めた。私は怒りに震へながら、むりやり作り笑ひを浮かべるしかなかった。





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