本当の名前/瑠王
 
私がまだシロツメクサの繁る果てしない部屋の中で
喉は泉のように潤い
すべてが書かれている事すら知らなかった頃
とても小さな幸運を探す可能性を秘めていた私の朝
名誉でも報酬でもない景色が窓枠の内を泳いでいた


青と赤が紫を生成するように
新しい名前は水の調和をもって生まれる
365区切りのパレットにはまるで画家のそれのように
日曜の広場の悲しみと喜びのように点在する新しい名前


時の狼に追われながら春夏秋冬を駆け巡り
綿毛の辿り着く先
蔦が皮膚を這い生命が体を縛る
背後から太陽は昇り私は人の黒い輪郭を知る
目にすることのない太陽は今や
昼に背いた私のどんなに支配者だろう


私の血に流れる君よ 私の土に眠る君よ
熱病にうなされていたならその名前を呼んで
そして強靭なその手で私の骨を離さないで
私の骨を離さないでいて

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