【140字小説】サボテン他/三州生桑
 
から。


【スリル】
「君の奥さんは怪しいよ。結婚するや否や、生命保険を掛けたりして」私はうなづいた。もうベッドから起き上がることもできない。「離婚した方がいい。まだ惚れてゐるのか」私は別れない。あの美しい妻が私に毒を盛ってゐるのではないかといふスリルを味はひたいのだよ。「あなた、お薬お飲みになって」


【ラッキーアイテム】
「これ幸せを呼ぶネックレスなの」と彼女は言った。「仕事もギャンブルもこれでOK。いい匂ひでしょ、男を引きつけるフェロモン入り香水つけてるの」彼女の太い指には全て指輪がはめられてゐた。「水晶にアクアマリンにトルコ石に……これ全部お守りなの! ああ、あたし幸せ
[次のページ]
戻る   Point(1)