Holy night/月乃助
 
はばかり 疑わぬ
holy night
肌をつめたくし、凝視しながら
清らかに、喜びを知ったものたちは、
だれも

路地裏をゆく
闇中の野良猫の用心深い足取りさえも
それに気づいたわずかな光を集める瞳の細心さをみせ、
にぎやかなショー・ウィンドーの
ダンシング・ドールたちは
ぬくもりをもとめ身を寄せ合い、

瞼を閉じ耳を塞ぐ
体をゆっくりと横たえ眠りつく
生きるもの達の完全に身動きをやめた 無垢な夜が 今
始まろうとしている
それを感じることなど
難しいこともないのに、



この世界に
最初に求められたものが光りであろうと、
それ以前にすでに空虚な闇は、夜の姿で存在した
光が神々しくいられるのは
それがため

そこから解き放たれた今宵、
救いがもたらしてくれる
安堵と喜びに
みたされ



灯りを消して 見つめれば
あらわれるのは、
不思議と 穏やかな静謐さ
それをいっそう得るがため 
光りがあったらと
いつまでも、
いちずに
祈る







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