生きていることを問い直させてくれる美術展 医学と芸術展@森美術館/イダヅカマコト
 
倒的な力を感じさせてくれた松井さんに対し、一番考えさせられたのはヴァルター・シェルスさんの写真作品『ライフ・ビフォア・デス』

この作品は2枚ひと組一人の人の顔を大きく撮影した作品で、一枚は生きているときの写真。もう一枚は亡くなった直後に撮影された写真です。

80代の老人から17カ月の赤ちゃん。男女、年齢も全く違う人の生と死の境目を撮影したこの作品に対してうまくいえる言葉がありません。
いつか、そのようになるであろう自分をそこに写された写真の中に見ようと努力しましたが、彼らの写真は鏡のように私の考えを跳ね返すばかりでした。

ただ、この蝋のように乾いた頬や深く閉じられた瞼に刻まれた
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