<これは、死のようなモノ> 〜 川村透さんを悼む/藤原 実
いては、逃げているばかりでした。
清水鱗造さんが「散乱光」と言い、一色真理さんが 「ドライ」と評した、川村さんのコトバの実験室のような詩の「カケラ」たちからぼくは身をかわし続け、そのためそれらはぼくの目を眩ませはしましたが、ぼくの胸につきささってくることはありませんでした。
が、そんなぼくが一度だけ川村さんの詩をまっすぐに受け入れられたときがあります。
2000年6月、オンデマンド出版という新しいやり方で「現代詩フォーラム文庫」の第一弾として発行された川村さんの処女詩集をぼくは手にしました。そして、その冒頭の一編を読んだとき、その詩のかけらたちが、まるで天啓のように、ぼくのよ
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