「雪の実」/月乃助
 


やわらか
マシュマロ
冬の庭に 小さな実をさらけだし
小人の作る あわい白玉が
あちこちに 雪をふらせて、
 
寒いね、
ここでは、そんな優しさは許されないのです
ここでは、強い者だけが生き残る
とげのある
細い枝が 手ごたえのない土をさしたり

それをがまんして
それでも、息をさせられる

羽をむしられて
鳥達も、寒さに体をふるわせる
さっき、あの鳥はスノー・ベリーをくちにした
毒のある 食べてはいけないはずなのに
でも、知っていて
鳥は、白い実をついばんだ
食べるものなど ここには
ありもしないから

知らずに ひとりひとり消えていくのは
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