宇宙というインストゥルメンタル、あるいは逆再生された無音/robart
た。
「本は読まない?」私は彼女に訊ねる。
「読まない。」彼女はすぐに答える。
「音楽はどう?」間髪入れずに再び訊ねる。
「ほとんど聴かない。洋楽が少し。」やはり間を置かず彼女は答える。
「どんな曲?」と訊ねると、数秒の沈黙があった。
「ノラ・ジョーンズ。」
「ノラ・ジョーンズ。」私は繰り返す。
「クリスティーナ・アギレラ。」
「他には?」
「ホイットニー・ヒューストン。あと、アヴリル・ラヴィーンとか、ヤー・ヤー・ヤーズ。」
ヤー・ヤー・ヤーズ。意外なアーティストの名前が出たので私は驚いて彼女を見た。
「ヤー・ヤー・ヤーズとか、どこで知ったの?」
彼女は答えなかった。
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