12月のボーイズラブ特集 副題:知と愛の接触/済谷川蛍
 
も朗らかな気持ちになった。彼はまったく素晴らしい。わたしを救えるのは彼だけかもしれない。しかし、わたしは彼にさよならを言うことにした。むりやり引決するような気持ちだった。わたしは四月に高野山へ移り住む。ペリカンの万年筆で二通目の手紙を書く。

 「ところで、いま、Nくんとわたしをモデルにした物語を書いています。写真が趣味の2人が、竜を撮影しに山に登るファンタジーです。出来たらきみに贈る。それとぼくは4月から高野山に移り住むことになりました。仏門に入るのです。Nくんは特別な美少年だからもっといい人にめぐり合うでしょう。きみの持って生まれた人格はおそらく桃李成蹊の類でしょう。僕のことを特別扱いし
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