Bus stop/パール・ハーバー/月乃助
しようがないのです、
あたしは、
それに乗らずにすんだ
最後の、バスはとうに走り去り
戦争を知らずに生まれた
いつまでも 見捨てられたそこで、
子どもの手をひいて
小さくなって、
雨ばかりを眺めている
鉄くずの 錆びるにまかせ
だから、車たちは すまなそうに
走っていくのです
きっと、
雨のいつもの香りが、やってこようと
海の向こうでは
争いも 殺しあいも
今も休みないの だから
あそこを歩く
老婆は、それに
気づいてか、
ふりむくと 小さく
ため息を ついたりするのですね
}
戻る 編 削 Point(9)