Bus stop/パール・ハーバー/月乃助
 
しようがないのです、
あたしは、
それに乗らずにすんだ
最後の、バスはとうに走り去り
戦争を知らずに生まれた
いつまでも 見捨てられたそこで、
子どもの手をひいて
小さくなって、
雨ばかりを眺めている
鉄くずの 錆びるにまかせ

だから、車たちは すまなそうに
走っていくのです

きっと、
雨のいつもの香りが、やってこようと
海の向こうでは
争いも 殺しあいも
今も休みないの だから

あそこを歩く
老婆は、それに
気づいてか、
ふりむくと 小さく
ため息を ついたりするのですね






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