スペル/湖月
 
 ひとつの言葉で生まれるものと死んでゆくもの
 音から文字へ文字から声へ声から言葉へと
 言葉は深い底をさまよう
 形のない海であり雨であり雪のようで
 光りへと暗闇へと
 文字を拾い集めた先に
 舌へと乗せた痛みとその先と
 指先から心臓へと
 言葉へと変えていく先へ
 その先が刺すものはわたしの心臓へ
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