引越し/
森未
荷造りをしようとものをどかしたら
なにがあったかわかるみたいにホコリが積もっていた
まんまるのホコリの輪
「たしかに君はここにあったんだよ」
鉛筆立てに向かってわたしはそんなことを言ってみる
返事はないが聞こえた気がする
そういえばこの家には長く住んだから、
わたしの周りにもたくさんホコリが積もっているみたい
片付けてしまうには、時間がかかりそうだけど
ふう、と息を吹きかけたらとんでいってしまいそうだな
わたしはしばらく鉛筆立てのホコリを見ていた
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