嵐の後の海岸にて/楽恵
 
嵐が過ぎ去ったばかりの

夜明けの海岸に

僕は僕の相棒の野良犬と連れ立ってやって来た



激しい台風が

思う存分 遠慮なく吹き荒れてくれたおかげで

夜明けの海の薄い水平線は

すっきりとした顔で微笑み 

黙って太陽を待ちかまえていた



ほの暗く濡れた砂浜には

遠い南の国から運ばれてきた

色とりどりの二枚貝や巻貝が落ちていた

どの貝も

花や蝶や星といった不思議な形をしていた


異国で作られた極彩色の仮面も落ちていた



しばらく歩いていくと

波打ち際に

干乾びた人魚のミイラが

流木と一緒
[次のページ]
戻る   Point(7)