嵐の後の海岸にて/楽恵
嵐が過ぎ去ったばかりの
夜明けの海岸に
僕は僕の相棒の野良犬と連れ立ってやって来た
激しい台風が
思う存分 遠慮なく吹き荒れてくれたおかげで
夜明けの海の薄い水平線は
すっきりとした顔で微笑み
黙って太陽を待ちかまえていた
ほの暗く濡れた砂浜には
遠い南の国から運ばれてきた
色とりどりの二枚貝や巻貝が落ちていた
どの貝も
花や蝶や星といった不思議な形をしていた
異国で作られた極彩色の仮面も落ちていた
しばらく歩いていくと
波打ち際に
干乾びた人魚のミイラが
流木と一緒
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