即興??improvisation/robart
 
意識がそう考えている。脳は考えない。意識が考える。意識が考えている、と意識が考える。ノイズのボリュームが下がっていく。空気の、あるいは海水の振動数が落ちていく。それは現実に起こってはいないかもしれない。けれどもそういう理屈でもって音量が下がったのだと意識が考えている。意識が判断している。カントが批判するまでもない。何も信用など出来ない。悟性など海中の汚泥にまみれて端から使い物にならない。突然何も聞こえなくなる。何も見えなくなる。暗闇。ブラックアウト。死ぬ。意識がそう考える。そこで目が覚める。我に還る。平衡感覚がない。けれど意識は妙に鮮明で静寂に包み込まれている。網膜にクリアな映像が映し出されている
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