即興??improvisation/robart
良質なノイズの海に身を投げ出し、波に逆らうことなく流され、海水を肺一杯に飲み込むと、自分が細かな細胞ひとつひとつの集合体であることが感じられる。脳に酸素が行き渡らなくなり、意識が遠のいていく。それでも音楽は鳴り止まない。痙攣が始まる。空気の振動を感じる。同時に、自分の意識の核のようなものが――そんなものがあればの話だが――細胞とは無関係に存在しているように感じる。脳細胞が死んでいく。ノイズが一定のリズムを帯び始める。それは心音と重なっている。むしろ心音がノイズと化していく。どこからが現実でどこからが空想か。それを決定するのは客観的真実でも公理でもない。意識だ。現実とは脳の中にある、と自分の意識
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