ど根性蛙の詩 /服部 剛
 
今迄のオイラは 
少々の向かい風が吹けば 
へこたれて 

縮んだままになっちまう 
ひ弱な御玉杓子(おたまじゃくし)なのであった 

物語の続く台本を、いつも
何処かに投げ捨てているのであった 

これからのオイラは 
目の前にぶら下がって 
舌を出している 
幸福というものに 

飢えた手をまっすぐ伸ばし 
齧(かじ)りついて、ゆくのである。 

( 大志を抱く青年よ・・・
  蛙の絵のTシャツを、着るがいい ) 

時にいたずらをする 
向かい風にひっくり返されても 
潤んだ瞳からひりひりと 
しろいお涙ぶら下がっても 
誰も見てない日陰にて 

どこ吹く風のふうぼうで 
ふたたび地べたに
ぴょこん、と立ち直るのである。 

四本の足をぴたりとつけて 
物語の続く、その先を 
じぃ・・っと睨む 
ど根性蛙になりきって 
腹の底に 

「ん」 

と力を、入れてみる。 







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