風のささやき /
服部 剛
自分の姿を鏡に映しても
人の姿を眺めていても
人間は、何かが一つ、欠けている。
鏡に映る、等身大の自画像と
鏡の前に立つ自分という人の
向き合う間に、ささやく風は
今日も密かに、吹き過ぎた。
欠けてしまって
もはや
塞ぎようのない
歪な形のさみしい穴に
不思議なひとの面影はいつも
風の願いそのものとなり
(入ろう、入ろう、)と唄ってる
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