埋没/
相羽 柚希
いつものバスに揺られ
曇った硝子を見やる
ヘッドライトがレーザーみたいだ
ならば街は宇宙戦争か
ならばネオンは流星か
霞んだ視界を晴らすために
冷え切った指をのばす
空から舞う粉雪
これは燃え尽きた灰か
これは天使の集まりか
この指を繋ぎとめていたのは
僕のつもりでいた
氷にひびが入り
破片が心をえぐる
その指を繋ぎとめていたのは
僕のつもりでいた
また曇っていく窓硝子
シートに埋もれる優しさの記憶
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