その頃わたしはまだ/都志雄
 
虹の行方を尋ねましたね
庭に駆け出す小さな足で

あれは、たしか夏の終わり

まだ見ぬ向こうに触れたくて
尻尾はそのたび凛と鳴り

その頃わたしはまだ
羽ばたき空飛ぶネコでした



雲の大きさを尋ねましたね
夕日の染める柔らかな頬で

あれは、たしか橋の上

自分がいるのも知らないで
《いちばんきれい》を追っていた

その頃わたしはまだ
パパとママと空でした





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