眠れないこどもたち/宮野
オレンジのスプレーでしゅーってしたみたいな空がかれらはすきだった
水色ととけあうようなさわやかさできゅんとする感じがとくに
それにはたまに薄くのびた白い雲がまざって、
そうそれは白い絵の具を指につけて 優しくなでたようだった
でもやがて暗くなってそこが闇をともなうようになると
かれらはいつもおびえていた
なんでって大人たちに聞かれてもうまくは答えられなかったけど
なんだかこわかったんだってかれらは言う
それでも闇を切り取ったような星たちがかがやくと
かれらはすこしだけ落ち着いた
「あ、ひかりが」
「みて、またたいている」
冬はとくにそうなんだって言うと
空気がすんでいるからねって大人たちは言った
ずっと遠くのほうがだんだん明るくなると
かれらはきょうふから解き放たれる
お星さま、さようなら
闇はこわいけどねってかれらはわらった
淡い空がかえってきた
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