冬の宿る/月乃助
 
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今日 午后(ごご)の空は、
秋をきびしく拒絶していました。
その審判は、言葉や法則でなく、
まして、表象された風景などでも
なかった。

許しはしないと、
風や雲の粒子さえ行き場を失って
戦慄は、白く波立つ海峡の
わずかな隙間へさえもすべりこませぬ 
かたくなさ、
 
誰もが楽しんでいた
旧套の秋を笑いながら、
もうすでに冬は、少しばかりの用心さをもって
街のあちこちに散在しはじめています。

【when】  しっかりと閉じ込められた
      窓ガラスを曇らす部屋のあたたかさに、
【where】 身を削り落としたようなカエデの枝の先か
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