眠れない夜を飛び越えて/奈々
怖いんでしょ？
他の人は気付いているのかな
あなたは恐れを抱いている時には
微かに瞼が震えるんだ
その震えは
そっと抱きしめると止まる事を
髪を優しく撫でると止まる事を
そして何より
一緒に涙を流すと止まる事を
あなたからのSOS
いつも突然で
見えない未来を嘆き
夜の闇に覆われて
目印さえ見当たらない
不安と焦燥が眠りを妨げ
ベッドに横たわる自分自身を
冷ややかに眺める
もう一人の自分
その存在が怖いんだ
あなたの中の
幼いあなたが手を伸ばす
救いを求め泣きながら
自分の存在を
見付けて欲しくて
ここだよ
ここにいるよって
大丈夫だよ
ちゃんと見ているよ
あなた自身の存在を
離れていても
会えなくても
だから
恐がらなくてもいいんだよ
もうじき
外は白い世界に包まれる
みなが眠りにつく中で
あなたも眠りにつけばいい
そっと
ゆっくりと
春なんてものは
それぞれの
タイミングで
やって来る
それまで
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