ロビンソンの家/初代ドリンク嬢
誰も住まなくなった家
ロビンソンが住んでいた
天井はピンク
壁はオレンジ
暖かいにおいがした
ぼくの近道
誰もいなかったはず
「ロビンソン」
窓からのぞく
ぼくに気づいて
瞳だけで微笑んだ
「なに読んでるの?」
ロビンソンはいつも難しそうな本をひざに乗せていた
「なに食べてるの?」
ロビンソンは縁側に畑を作っていた
「あれなあに?」
ロビンソンのたんすの上に
古ぼけた写真
右端だけが切ってあった
見たことある
あのおばちゃんこの間死んだ
あの女の子もう大人だ
あの犬は
ロビンソンの足元で長くのびている
夏
ロビンソンは
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