三人の男/カンチェルスキス
 



三人の男が横に並んで
箱の中の小冊子の数をかぞえてる


いち、に、さん
バイトの女子高生が
早退してお疲れさまでしたと
言ってるのも聞こえなかった


短気な老人が社長で、
じっと見てる、間違えたら
いやでも罵られる


三人の男は誰も
緊張してこどもがいる
結婚して指が震えている、
いちど失業して臆病になった


日の長い夏の
空が真っ暗に
窓に映ってる
三人の男の汗は
炭鉱夫が流すような
黒まじり


地球は狭くなった
だが三人の男の
手作業は終わらない
間違ったやつは
ガラスの死刑台


小冊子の包装が

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