三人の男/カンチェルスキス
三人の男が横に並んで
箱の中の小冊子の数をかぞえてる
いち、に、さん
バイトの女子高生が
早退してお疲れさまでしたと
言ってるのも聞こえなかった
短気な老人が社長で、
じっと見てる、間違えたら
いやでも罵られる
三人の男は誰も
緊張してこどもがいる
結婚して指が震えている、
いちど失業して臆病になった
日の長い夏の
空が真っ暗に
窓に映ってる
三人の男の汗は
炭鉱夫が流すような
黒まじり
地球は狭くなった
だが三人の男の
手作業は終わらない
間違ったやつは
ガラスの死刑台
小冊子の包装が
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)