落陽ノ刻/服部 剛
 
ゆく道を走るマラソンランナーは
涙のかわりに汗をふりきり走り続ける

  ぽろろん ぽろろん ・・・

黒い人影の親指が六弦を撫でると
夕映えに照らされた
川の水面は譜面となりて
ぎたあとせせらぎは
ひっそりと音を重ねる

川の向こうの暮れゆく街で
今日も家路につく無数の人々を
心静かに讃えるように

  ぽろろん

    ぽろろん

      ぽろろん ・・・

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