落陽ノ刻/服部 剛
 
夕暮れの川辺に浮かぶ
黒い人影は芝生に腰をおろし
ちぎれ雲に目を見やり
ぎたあを抱いて

  ぽろろん ぽろろん ・・・

黒い人影の胸には穴が空いており
ぎたあの体つきとどこか似通い
六弦をつまびいては
時折 ひとり言をこぼす

  ぽろろん ぽろろん ・・・

隠しきれない穴の隙間に
弦が震えて響く音は
川を越え
夕空の色さえ微かに変えてゆく

黒い人影と ぎたあと
時折背後を過ぎゆく人の
土を踏む音

夕空にしばし響くはカラスの合唱
その下でひとりの子供がはしゃぎながら
父親の胸の穴をめがけてぼおるを投げる

土手に伸びゆく
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