青い鳥 /服部 剛
弟をじっと見る姉の瞳は少し、揺れ
声を出さずに(ありがとう)と言っていた
*
早いもので
過ぎてしまえば夢のような
旅のひと時から1週間
今頃、僕と遊んでばかりいた
姪っ子の机の上には
おじさんの僕が渡した小遣いで買った
チルチル・ミチルが主人公の
「青い鳥」の絵本が置かれている
姉ちゃん、いろいろ悩みもある
家族ではあったけど
幼かったあの頃にはもう2度と
戻ることもないけど
おじさんになった僕は今
瞳を閉じれば、見えるんだ。
僕等の胸にずっと消えないあの頃の
5人の笑顔で囲んだ食卓の上に
ゆっくりと羽ばたきながら
舞い降りて来る
あの
青い鳥が
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