はーとの絵 /服部 剛
 
お気に入りの詩集を開いて 
(いい詩だなぁ・・・)と思い 
目次に並ぶ題の上に 
丸をつけたら 
手が滑って 
凹んだはーとの形になった 


  * 


ほんものの詩というのは 
たぶん 
静まり返った嵐の後の 
まっさらな道の上に吹いて来る 
微風に舞い上がった 
一枚の紙切れ 

一枚の紙切れ 
に描かれた、凹んだはーとは 
どくっ、どくっ・・・と絶え間なく 
密かな脈を、打っている。  

ほら、たった一篇の詩を求めて 
遠い国からやって来る 
ひとりの俯く青年が 
長い坂道の、向こうから 




戻る   Point(3)