明日の「ぼくら」へ/都志雄
 
一人の女がwaterという単語を知った時
女の暗い海には光があった

一人の数学者が荒地を切り開くとき
ヴィーナスと魔女たちは密かににらみ合った

一人の音楽家が夏の行方を探り打つとき
雷鳴は永劫の美を丘に轟かせた

ぼくらはただ信じ、賭け続ける
二色の狭間で。
灰は黄金に変わると
それはメッキではないと



少年の肩に老人がそっと腕を回すとき
砂漠には一片の雲が二人の髪を撫でるだろう

青年が登ってきた山道を振り返るとき
彼を未来へと押し出す風に気がつくだろう

船乗りたちが雲海の彼方の故郷を思うとき
やさしい手紙が彼らの髪を弾くだろう

ぼく
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