失望を抱く/百瀬朝子
シャワーの湯をはじく肉体だけが
あたしの存在証明だなんて思うのは
虚無があたしを支配しているせいだと
決めつけるあたしは果たして醜いか
濡れた髪の毛を顔中に貼り付けて
嘲笑した口元は
誰かのくちづけを欲していて
濡れた唇はシャワーの湯のせいだが
それだけじゃない理由が血が騒ぐ理由が
あたしは果たして愚かだろう
昇る太陽が憎いとか
降る雨が悲しげだとか
通り過ぎれば忘れる一瞬の
どうでもいい感情に
心を揺らしたりしちゃって
傷つきやすいゆえんかもね
って笑っていられるうちは
誰かがそばにいるってことで
つまりそれはそのときばかりは
いつもより少し強くなれるっ
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