麻薬売りの女の子/なかがわひろか
麻薬売りの女の子に道を尋ねた
明日に行くにはどうすりゃいい
麻薬売りの女の子は答えた
これを煎じて飲みなよ
僕は彼女にもらったものを
すり鉢で煎じてお湯に淹れて飲んだ
苦くて液体中に飽和したそれは
なかなか僕の中に入ってきやしなかった
しばらくすると僕は一人でに歩き出していて
歩を止めようとしても
僕の足は勝手にそちらに向かっていて
僕は足が赴くままにするしかなかった
やがて足は止まり
また麻薬売りの女の子と出会った
彼女は僕を一瞥すると
また僕に新しいものをくれた
僕は苦いのを我慢して
再び足は勝手に歩き出して
僕はまたそちらへ向かう
そしてそこには麻薬売りの女の子
僕は明日に行きたいだけなんだ
だけど僕の口はもう言葉を発することはできなかった
女の子はまた僕に渡す
僕は煎じて飲む
苦い
(「麻薬売りの女の子」)
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