媚びる女/ふくだわらまんじゅうろう
 
そんな女の媚びるような歌声が
俺の頭から離れないんだ

しかし女は誰か男を
男の腕を
懐を
頼りに生きているわけでもなかった
女は
言った
斜め口調で
この俺がいかにつまらない男であるか
この世がいかに取るに足らない小宇宙であるか
女は
言った
斜め口調で

私は問うた
「尻の軽い女と身持ちの硬い女の違いというのは
どこからくるのだろうかねえ?」
女は言った
「あんたそんなことも知らないで
詩を書いてんの?
馬鹿じゃない?」

女は私の明け方の勃起を誉めた
その硬さと大きさを誉めた
ならば、もっと硬く大きな勃起を持つ男を経験したならば

[次のページ]
戻る   Point(2)