五重塔(その2)/あおば
されされ
ワンピースと
缶ジュース
コインランドリーの前の
無意味に引き延ばされた景色の中に
エンパイヤステートビルから始まったかのようなイメージを
大型の浴槽で念入りに洗濯した
破れたジーパンを履いて
まるで官軍のようだねと
言いながら
息の続く限り
へたくそな
笛を吹く
拾ってきた
玩具のブリキのラッパでも
近所迷惑にはなると
自信を持って
朝から晩まで
吹き鳴らす
天雷のように轟いたのは
偶発的な空の息
色のない音の世界に塔建てる
倶利伽羅峠の補機蒸気機関車D51
三重連の力行(りっこう)
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